治療例

こちらに掲載中の主な症状・治療方法は個人差がございます。
患者さまの病状によって、最適な治療をご提案させていただいております。

テニス肘

「テニス肘」とは肘の外側の骨の出っぱっている部位の病変を指します。
テニス肘の正式名は「上腕骨外側上顆炎」といいます。

原因

手首を上に曲げる働きのある筋肉の柔軟性が衰えてきたところに、使い過ぎあるいは外傷が加わり、その筋肉が骨に付着している「腱」に微小な損傷が起こることで発症します。

治療方法

サポーター、筋肉のストレッチング、ステロイドの注射初期にはサポーターや、筋肉のストレッチングで対処しますが、症状の強い人にはステロイドの注射をすることがあります。 腱は血流の少ないところなので、治るまで4~6カ月要することがあります。
ステロイドの注射はある程度の期間、炎症を抑えるので症状を緩和することができますが、繰り返し打つと組織を弱くしてしまうため、2~3回までとすべきです。

関節鏡手術

半年以上経過しても治らないテニス肘は、腱の断裂を起こしている可能性が高く、前述のような治療を繰り返しても症状がとれなくなります。
そのような例はMRIで断裂部位を確認できます。
MRIでは、左の画像、矢印の部分のように、腱の断裂している部分が白く写ります。

テニス肘1

テニス肘2

丸で囲った部分が断裂部分です。 数ミリ程度の穴から肘の関節内に関節鏡を入れて、損傷部位を処置します。
多くの場合、腱の断裂部位がはっきりと見えます。
当院では根本治療として、関節鏡を用いています。
断裂部位と上腕骨の外側上顆がぶつかることによって症状を出すため、断裂部分を削り、骨とのぶつかりをなくします。
関節内の他の部分も観察するため、だいたい一時間程度を要します。全身麻酔で行うため、御本人は寝ている間に手術は終わります。
複雑な手術ではないため、ギプスなどはせず、手術翌日から肘関節を動かすことは可能です。
9割の人は関節鏡で症状を完治させることができます。残り1割の人は軟骨損傷等、他の部位の病変が合併していることが多いようです。

石灰沈着性腱板炎

石灰沈着性腱板炎とは肩関節は動きが非常に大きいため、筋肉のバランスが崩れると、容易に摩擦を起こす場所があります。

原因

肩関節の奥にある筋肉の一部とその上にある骨との間は、摩擦が起こりやすい場所です。
その摩擦の結果、腱板という筋肉の一部から石灰が噴出する病気を『石灰沈着性腱板炎』と言います。

肩関節の奥にある筋肉の一部とその上にある骨との間は、摩擦が起こりやすい場所です。
その摩擦の結果、腱板という筋肉の一部から石灰が噴出する病気を『石灰沈着性腱板炎』と言います。
肩の激しい痛み、腕が全く動かない
石灰が出る時には激しい痛みを生じ、痛みのため腕が全く動かせなくなることが多いようです。
通常数日間で激痛はおさまります。石灰は自然に吸収されてなくなるものもあれば、消えることなく腱板と骨の間に存在したままのこともあります。
消えずに残った石灰が腕を動かす角度で周りとぶつかり痛みを出すこともあります。

治療方法

注射・局所麻酔
治療は石灰の近くに炎症を抑える薬を注射したり、局所麻酔で石灰に針を刺し、石灰を散らす方法があります。
注射・局所麻酔などで解消されない石灰の癒着
発症のきっかけがない変性による断裂(一種の年齢変化)の場合は炎症が起きている場合と同じように内服、リハビリ、注射などで治療することもありますが、痛みの強い場合や外傷による断裂の場合は手術で断裂部分を縫合する必要があります。

五十肩

五十肩とは、昔から40~50歳代で特にきっかけ無く、肩の関節が痛くなる病気を五十肩と呼んでいました。
しかし現在では、関節の袋やその周りの組織に炎症を起こし、肩の痛みと動きが制限される病気を五十肩と呼んでいます。

原因

関節の年齢的変化に加え、肩関節をとりまいている腱板と呼ばれる筋肉の一部が炎症を起こすことが考えられています。
50歳代の人に多いので五十肩と呼ばれていますが、30歳代の人や80歳の人にも起こり得ます。
五十肩は放置しても1年くらいで治癒することが多いと言われていますが、適切な治療を受けることで早く治すことが可能な病気です。しかし糖尿病を合併している場合、治るまで長期を要することがありその場合血糖値の管理も大切になってきます。
その他、五十肩と似たような症状を出す筋肉の損傷である腱板断裂や石灰沈着性腱板炎という病気もあり治療の方法も異なります。『五十肩』と自己判断せず、まずは整形外科の受診が治療への第一歩です。
動かした時の痛み、安静時痛
肩を動かしたときに痛みがあり、夜、就寝時の安静時痛などがある。
ある程度時間が経つと痛みは軽くなってくるが、肩の動きはなかなか改善しない。 診断は、診察とMRIという断層写真での診断は可能です。

治療方法

投薬・注射
炎鎮痛剤の内服。
初期の痛みが強いときには炎症を止めるステロイド剤や滑りを良くするヒアルロン酸を関節内に注射します。

リハビリ

肩を温める温熱療法と肩の動きを良くする訓練を中心に行います。
がむしゃらに肩を動かすのではなく、かえって炎症が強くなり逆効果になりかねませんので、整形外科で正しい運動の指導が必要です。

腱板断裂

腱板は肩関節の奥にある筋肉の一部である腱が板状にならんでいる部分であり、骨と靭帯が囲む狭い場所に存在します。腕を上げるという大切な働きがありますが、その狭い場所で働くため摩擦を受け炎症を起こしたり、無理な力が加わり断裂することがあります。 断裂すると痛みが発生し腕を上げることが困難になることがあります。

肩の痛み、腕が上がらない

腱板に炎症が起こったり、無理な力が加わると断裂して痛みが発生し、腕を上げることが困難になることがあります。

治療方法

消炎鎮痛剤の内服・注射・リハビリ
炎症だけであれば、消炎鎮痛剤の内服や、ヒアルロン酸や炎症を抑える注射、リハビリ(温熱療法・電気治療で痛みを緩和、癒着を防ぐためや肩の動きが安定するような運動療法など)で、症状の改善が期待されます。

腱板が断裂している場合の治療

発症のきっかけがない変性による断裂(一種の年齢変化)の場合は炎症が起きている場合と同じように内服、リハビリ、注射などで治療することもありますが、痛みの強い場合や外傷による断裂の場合は手術で断裂部分を縫合する必要があります。
手術は、内視鏡で以下の内容を行います。

  1. 断裂した腱板を骨に縫合する。
  2. 腱板の上にある骨と靭帯を削り、腱板の通り道を広げる。
    尚、断裂が大きすぎて縫合できないときには骨同士の擦れあっている部分を削ったり、炎症を起こしている滑膜を取り除くことで対処することがあります。

腱板断裂1

腱板断裂2

腱板断裂3